2012年 09月 07日
【これまで歩いた総距離数】 3,227km 【現在地】 熊本県 阿蘇市 【旅の行程】 はんだ高原ライダーハウス⇐(29km)⇐湯平温泉 私が知っているてんねんさんは 何事も準備と段取りを怠らず、常に効率的な予定をたてその時間に正確で常にテキパキと行動する。 朝の6時には洗濯からはじまり、朝食、子供達のお弁当作り、家の掃除、仕事の準備も済ませる。 高校3年生のときに初めて結ばれた奥さんと20年間連れ添い、今でもとても、とても想っている。 仕事以外で家族と2日以上離れていたことがない。 そして一緒にいる人に細やかな気配りをする人。 だから一番心配したのは、予定どおりには進まない旅の生活とホームシックだったんだけど てんねんさんの荷物を見ておや? ティッシューに、ウエットティッシュー、ボディー用ウエットティッシューに、キッチンペーパー う~んティッシュー系がやたら多いぞ。 ちなにみ私たちが持っているのは芯を抜いたトイレットペーパー1つで、これで鼻をかんだり お尻も拭くし、食器も拭く。 てんねんさん実は、かなりの清潔好きで、古い畳や、洞窟のように暗くて狭い場所もダメだったりする。 トイレも自分の家以外ではしない、外出しているときなら高速道路に乗ってでも家に帰り、用をたすのだ。 この旅に参加することは私たちが想像していた以上に勇気が必要だったことだろう。 それに加えて、歩き初日の過酷なスケジュール、よっしゃー次の日は歩くぞーと気持ちを切り替えても 雨で停滞だったり、テントで寝ていても外から槍でつつかれる夢を見たりと、見るからに大変そうだ。 雨で停滞した湯平での2日目の夜 明日は早朝に出発しよう、ということで夜7時にはそれぞれテントに入った。 夜中にフミさんがトイレに起きると、てんねんさんのテントからゴソゴソと物音が聞こえる。 見ると、テントの中をすっかり片付け、寝袋も丸め始めているではないか! えっ!てんねんさんやっぱり耐え切れずに脱走?? 「てんねんさん?何してるんですか」とやさし~く声をかけると 「ん?出発準備・・・・」 いつも4時間睡眠のてんねんさんが、夜の7時なんかに眠れるわけもなく それでも明日の歩きに差し支えて、二人の足を引っ張るわけにはいかないと 必死に眠る努力をしてうとうと・・・。 この旅で、あえて時計をしていなかったてんねんさんは、家で蚊取線香を点けてからなくなるまでの時間が 7時間というのを目安にしていた。 すっかり消えた蚊取線香を見て朝の5時ころと判断。 それに加えて夜中には起きないフミさんも起きたし、間違いないと確信したが、実際にはまだ 夜の12時だった。 この夜は風が強く、蚊取線香はすぐに燃え尽きてしまったようだ。 よく考えると、脱走するにしても歩きだからなあ。 翌朝、皆早起きして6時前には全員出発準備が整った。 昨晩の脱走事件で盛り上がり、さあ出発というときになって、てんねんさんが一言 「あゆみさんのカートパンクしてる」 あ~これだからなあ。 てんねんさんとフミさんとでパンク修理 今日は、はんだ高原ライダーハウスまで19Km、まあまあの距離だ。 てんねんさん普段仕事では白いTシャツ、外出時はグレーの長袖Tシャツしか来たことがない。 今回旅用に色付きTシャツを新調した。 色はフミさんのブルーと私の黄色いTシャツをイメージしてくれたそうで、お揃いだわ~。 そして初日の歩きでショートパンツはもたつくからと、海パンにチェンジ。 こういう何かするときの意気込みが半端じゃない。 てんねんさんはそう、何事も中途半端にだらだらというのがないなあ。 由布院から始まって、アップダウンを繰り返しながら、高度はじわじわと上がってゆく。 歩き2日目のてんねんさんは朝に行動食も口に入れて(多分無理やり)しっかりした足取り。 不慣れな生活ながらも、私たちについてこれるよう、体もメンタルも一生懸命調整しているようだ。 きっと、二人の足手まといにだけはなりたくないと思っているだろう。 カートは上りになると押し手が不安定なので、途中で拾った二股の木の枝を使って、力を分散している この枝のしなり具合がカートに無駄な負担をかけないようで、その辺もしっかり計算している。 前日のテント場でこの枝も綺麗に洗って、それからタオルを干しているのがてんねんさんらしい。 距離が長いこともあって、ここでお昼ごはん。 由布院からしばらくスーパーらしきものもないような場所を歩くんで、私たちはかなり多めに買い出し したんだけど、てんねんさん普段は夕食以外、ほとんど食べない。 勝手に、たくさん食べる食いしん坊さんだと思い込んでいたのだが、てんねんさん曰く 私たちが、あまりによく食べ、時間を空けずにまた食べ、それでも常に何を食べるか話している 食いしん坊だった。 昼は前夜に作っておいた、おにぎり。 水道水が飲めないてんねんさんは、前日に大量のお茶を作っておいたけど、それも残り少なくなってきた。 あてにしていた自動販売機もなさそうだ。 そんなとき、出店のようなテントがあって野菜や果物を売っていた。 50円のキャベツ1個買って、お店の家族と立ち話をしていると さっきまで柵の片付けをしていたそこのお兄さんが、その手で皮を剥き、手のひらで切り分け ハイと梨をくれた。 もちろん洗っていない手で・・・。 私たちが食べる。美味しい~~~。 バナナ以外の果物を食べないてんねんさんは無理だろうと思ったら、後ろで食べた~いという声。 お兄さんの手のひらから、私の(カートを押して汗ベト)手のひらに乗った梨が、さらにてんねんさんの手へ。 「うま~~い」と心底嬉しそうだ。 乾いた喉に、甘い梨の水分と食感がたまらなくしみ込む、こんなとき手のひらどうとか関係ないのだ。 てんねんさんまた1つ乗り越えた。 そのお兄さんもショッピングカートで歩いたことがあって気持ちよく我々3人を見送ってくれた。 ちょっと疲れてきたなあ、というとき3人無言で歩く。ライダーハウスも近いんじゃ?と 地図で道を確認していると、一台の車から男性2人が降りてきた。 「歩いて旅してるんですか?」 「他にも歩いて旅してる人いるんですよ」 「その人『ただ歩いてゆく旅』っていうブロクをやっていて・・・・」 「あれ?まさか???」 「でも3人???」 彼は自転車で日本縦断しているシンヤ君、ブログもしていて日本一周ブログランキングで見たことある。 この日はシンヤ君のブログによくコメントしてくれる男性の案内で観光していた。 その男性がまた、てんねんさんと同じ直方在住。 彼らは車でドライブしながら色んなスタイルの旅人がいるという話をしていて、そうそう歩いている人もいて 『ただ歩いてゆく旅』っていうブログでと、ちょうど話していたところだったそうだ。 あまりの偶然に一同、鳥肌が立った。 だんだん旅らしくなってきたぞー それもつかの間ライダーハウスがなかなか見つからない。 歩きは、少々しんどくても「歩くぞー」のスイッチがONのときはがんばれる。 もうすぐライダーハウスと聞いて、私とてんねんさんはスイッチOFFにしてしまい、そこからの歩きが 長く感じ足取りも重くなる。 地図上ではこの辺りにあるはずなんだけど。 地元の人に聞くと「ああ、あの仮面ライダーの」という答え。 ライダーハウスってひょっとして、そっちのライダー?オタクさんの集まり? やっと発見した木製仮面ライダー ライダーハウス見つかったはいいが、今までのてんねんさんの話を聞く限り泊まれるとは思えない。 旅館でも不衛生だと、キャンセル料を払ってでも断るし、旅館の料理も出された瞬間これはダメとなったら 手を付けずに、わざわざ他の店で食べるのだから。 ライダーハウスもダメそうだったらテントを張ろうと事前に打ち合わせしていた。 入口近くの仮面ライダー 受付をしてライダーハウスの場所を聞くと、コンテナ? 3人目を合わせ、これはテント確定だとうなずく。 「中見ます?」と聞かれ 失礼に当たらないよう見ることに。 おお?以外と綺麗だぞ。それにここ数日夜は雨ばかり、またいつ降るとも限らない。 てんねんさんも覚悟を決めたようで、泊まれるとうなずく。 それでも入口近くまでしか入れないてんねんさん。 最後の最後に勇気をだして、ごろんと出来るようになった。 夕食は、てんねんさんが焼肉をご馳走してくれることになった。ヤッター!! 自炊と片付けから開放され、3人ルンルンで出かける。 帰りには近くの温泉に入って、コンテナでゆっくりしよう。ビールも買ってこようと計画を立てる。 30分ほど歩いて一件の店が見つかったので入ったら、そこはてんねん夫妻が10年以上前に入った ことのある思い出の店だった。 お店の人も、お客さんもいい人で、じゃがいもを沢山もらい、楽しいひと時を過ごす。 さあ風呂へというときになって、お店の人がそこは数日前に雷が落ちて営業停止したままという。 別のもう一件はもう営業が終わっている。 残る一件は往復10kmの距離。 ああ~ここまでは素敵な一日だったのに~~。 19キロ歩いて夕御飯も食べて、そこからの10キロ・・・。 てんねんさんは、この真夜中の帰り道が一番ホームシックになったと教えてくれた。 つづく にほんブログ村ブログランキングに参加してます。クリックお願いします! 一緒に歩いている歩き人ふみのブログはこちら→「歩き人ふみの徒歩世界旅行 日本・台湾編」
by ayumiaruki
| 2012-09-07 22:43
|
アバウト
カレンダー
プロフィール
近藤あゆみ
06年札幌で日本徒歩横断途中の 「歩き人ふみ」のスライドショーを見に 行ったのがきっかけで、お付き合いを 始める。 08年17年間勤めた会社を退職し 長野県よりふみと一緒に歩きはじめる。 以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 01月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 02月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 その他のジャンル
フォロー中のブログ
Cafe_CReAM モノ語り Tangled with... cafe scale の... 写真 from ehim... タスマニアで生きる人たち Bluesが聞こえるよう... +deja+ ふらりぶらりの旅日記 フォトブラセブン ■おお『空』見よ わたしのいろんなこと 気まま旅 らくちん道への道 村の記憶 iya japan Nowhere To H... とりあえず。 外部リンク
画像一覧
|
ファン申請 |
||